リーチ平和のみ
アシスタントの謎がネット麻雀をやっているのを後ろで見ていた。
もちろん、天鳳である。(天鳳やってます)
平和のみでダマテンにしている。
特に手変わりがある手でもない。
「リーチしないの。」と私。
東3局。
点差の離れてない競った展開だった。
「はい。」と謎。
「なんでリーチしないんだよ。この展開ではリーチしても皆の切る牌は変わらないぞ。」
「はい。それでもリーチはしません。」
「なんで?」
「平和のみはリーチしないと決めているんです。」
「確かに…わかるけど…この場合はリーチした方が…。」
「『オバカミーコ』で片山先生が書いていたんです。平和のみはリーチするなと…。」
「…。」
尊敬する大先輩である片山まさゆき先生の名前を言われて私は何も言えなくなった。
『オバカミーコ』とは片山先生の作品で、
麻雀初心者のミーコが波溜という師匠に麻雀を教わりながら強くなるという物語である。
毎回テーマがあり、麻雀初心者に役立つ格言が書かれている。
「平和のみはリーチするな。」はその一つなのだろう。
私はそのくだりをよく覚えていないが、その通りだと思う。
平和のみは1000点。リーチをしても裏ドラがのらないと2000点。
裏ドラの乗る確率を考えれば、1000点を2000点にするためにリーチ棒の1000点を払うのはあまりにも非効率だと思う。
多分、片山先生もそのようなことを書いたのだろう。
私も平和のみの聴牌はリーチなどしない。
ただし、それも状況によるのだ。
東3局(天鳳だからラス前)で、謎は3着目。
2着とは1600点差。
順位取りのみの天鳳では、オーラスを迎える時の着順はとても大事である。
2着と3着も大きな差がある。
3着だとオーラスでラス目がアガれば、自動的にラスに落ちるので降りることが出来ない。
2着だと放銃さえしなければラスにならないので、降りるという選択肢も出来る。
だから私は「リーチをしろ。」と言ったのだ。
2着との点差は1600点。
1000点をアガっても、直接打ち込む以外順位は変わらないが2000点ならどこからアガっても2着になれるのだ。
結果は2着目以外からアガり牌が出て、謎は1000点でアガり、3着のままでオーラスを迎えた。
結局オーラスはトップ目がラス目からアガり、謎はラスにならなかったが、だから良かったということではない。
麻雀はこういう細かいところが長い目で見ると大きく違ってくるのである。
間違った戦術書などない。
しかし、どの場合にも当てはまる戦術書もない。
結局現場での判断力を養わなければ、戦術書は無用の長物となるのかもしれない。
人は負けが続くと、戦術書のやり方を試したくて、有名プロの打ち方を真似したくなる。
だがそれが一番の敗因となる。
ちなみに、私が作品の中で描いていることもどんな時にでも当てはまることではないし、
竹井やまー坊の打ち方を真似するのは危険すぎるのでご注意を。
リーチ平和のみ
頑固なペンチーピン