引きヅモ 

私の麻雀漫画の登場人物はマナーが悪いと言われます。

アガったときのセリフとか、
リーチ棒を投げたり牌を叩きつけたり…。

許してやってください。

マナーが悪いのは百も承知ですが、

漫画を作るうえでこれらの表現がないと

話や画面に動きがなくなってしまうのです。

良い子は真似しないようにしてください。

ところで皆さん、「引きヅモ」ってご存知ですか。

最近は、あまり見ません。

フリー雀荘では基本的に禁止ですから…。

リーチをすると、それ以降ツモる牌は

アガり牌以外はそのまま河にツモ切ります。

つまり、リーチ後は

ツモった牌を他人に見せても

リーチ者にとっては問題ない、

ということになります。

そこでリーチ後ツモる牌を
全て手前に叩きつける行為…

これを引きヅモといいます。

これ…うるさいんです。

昭和のフリー雀荘のお話です。

そこに、引きヅモをやるおっちゃんがいました。

とにかくリーチのときは気合が入っています。

横に曲げる牌も「バチーーーン!!」と叩きつけます。

それでツモるたびに

「どりゃぁッ!」「バシーーーン!」

と手前に叩きつけます。

その牌がアガり牌でないと
ひょいと持ち上げ河に置きます。

そしていよいよアガり牌を引いたとき!

「………。」

おっちゃんは何も言わずに右手を伸ばし

裏ドラを取りに行きます。

そして「1000・2000」とアガり点だけを言うのです。

この手が裏ドラを取りに行く行為こそが

「ツモ」です。

私はそういう発声の仕方もあるのかと
思って
おっちゃんを見ていました。

しかし、いくらなんでもうるさいので

店側が「うるさいから引きヅモはやめてください。」

と注意されたようです。

しばらくしてから

またおっちゃんと対戦する機会がありました。

すると、リーチ宣言牌をバシン、とやるのも

「どりゃぁ!」もなくなっていました。

ただし、1枚1枚自分の手元に引き寄せて

まったく音がしないように

「ストリ」と引きヅモをやっていました。

アガったときも無言で裏ドラを見に行きます。

確かにとても静かになったけど…。

店員もそれ以上は言わなかったようです。

雀荘には楽しい人がいっぱいいます。

多分、それは令和になっても変わらないでしょう。

投稿日:2019年4月25日 更新日:


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押川雲太朗

1965年生まれ。漫画家。麻雀漫画を多数執筆しています。現在は「麻雀小僧」と「Let’s Go なまけもの」を執筆中。


押川雲太朗先生の下でアシスタントをしている謎と申します。
天鳳やってます」を担当しています。
毎回やらかしてしまうヘボヘボなブログですが、良かったら見てください。
目標は四段R1800で特上卓に行くことです。